【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―
皆がわっと盛り上がる。
そういや長い間席替えしてないな。
なぜかいつも隣の席はキノだった。
毎回不思議なぐらいいつも隣の席にはキノが居たけれど
今回もまた隣になる確証はないんだよな。
席替えやだなと頭で思いながら
先生お手製のくじを引く順番がくるのを待つ。
「高橋、お前木野の分も引いといてくれ
右手は木野の席な」
「…あ、はい。」
席を立ち、両手でくじを引く。
右手に一枚左手に一枚
どうか
どうかもう一度隣の席になりますように。
なんて女々しい願い…
我ながら気持ち悪いぞ、
このクラスは43人いる。
隣じゃなくても
せめて前後か
近い席にしてほしい。
まず
右手で引いたものから開く。
……1番か
キノあんた一番前の席になったぞ…
居眠りもうできないね。
これで私も隣になったら
私も一番前か。
なんか嫌なような
いや、
キノの近くなら
どこだっていい。
私は左手で引いた方も開いた。
開いた瞬間
白目を向きそうになる。
43番
6行7列の
一人そのなかで孤立した
窓際の一番後ろの端の席。
キノと
もっとも遠い位置だ。
最悪だ
運がないにもほどがある。
よりによって一番遠い席とか
まじか。
「じゃあ今回はこの席でいくからなー
あとの時間は次のテストの勉強しとけ」
先生がそういって教室を出ていき
皆は勉強なんかするわけもなく隣の席の人と喜びあったりして話している
私は隣に誰も居ない。
とりあえず空を見上げながらキノの真似して突っ伏す。
早く
会いたいのに
「フーちゃ〜ん」
突然
伏せた頭をわしゃわしゃ乱され、ばっと顔をあげると
私の前の席の人が微笑んだ。