【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―
ピリリリ
ピリリリ


急に
バックから音がなる。

私はビクッと飛び起き片手でバックを手繰りよせ携帯を手にとった。


なり続ける着信音1

設定を買ったころから変えていないので未だに色気のない着信音1だ。



画面を見ると


キノの文字が目に入り

私は無意識に顔が緩んだ。

キノが電話をかけてきた。

どうしよう

嬉しい


変な声出しちゃったらどうしよう。


は、早く出ないと

なんて言って出たらいいかな


普通

普通で、いいんだよ、普通で



私は携帯を耳にあてた。



「も、もしもし、」


『……タカ?』


「うん」



なぜか久々に感じるキノの声。

あまり、元気ではないみたいだ。



「退院、できたの?」


『うん、昨日、した』


「そう、体は平気?」


『平気、』


「よかった」



淡々と会話をしていく。


どんな話をすればいい?

なんだかたくさんあったよ今日は


席替えの話にテストの出来の話
私が姉役を降りた話。



どれを話せば

元気になってくれる?




「キノ、課題ちゃんと終わってる?」


『ん、まだ』


「テストね、課題からいっぱい出てるから見といた方いいよ」


『うん』


「えっと、あの、それから」


『タカ』


「は、い、なに?」


『会いたい』




その言葉に声に

胸がギュッと苦しくなる。






『…タカに、会いたい

…寂しい…』


「…明日、来るの?学校」


『行く、タカに会いたいから、』


「待ってる」


枕元に置いてあるキノからもらったカエルを目の前に置いて

会話を続けた。


カエルがキノに思えて

寂しさ軽減、のつもり。




『明日、会ったらチューしてくれる?』


「チャンスがあったらね」

『雰囲気?』


「そーね」


『タカ、早くタカに会いたい…』


「うん、うん。わ、私も

キノに、早く会いたい」


『本当?』


「うん、元気なキノを見たい」




そう言うと

キノの照れた笑いが聞こえてきた。
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