【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―
『元気に屋上でやる?』
「しない、ばか、ばか」
『え?何想像したの?屋上でお昼食べようって話じゃん?
うわぁ、タカえろー』
「普通屋上開いてないし
想像してないし、死んじゃえし」
『照れんなよー可愛いやつ』
腹立つ、めっちゃ腹立つ。
だけど
いつものキノに戻ってきて少しほっとした。
明日から、キノは学校に来る。
嬉しくて堪らない。
なんだか泣きそうなくらい
キノを好きだと言ってしまいたい気分。
『タカー、』
「なーに」
『ううん、なんもない』
「なにそれ」
『声、聞けてよかった。
タカと話してるとやっぱ落ち着く』
「それは、どうも」
『タカ、大好き』
「…どーもっ」
『世界で一番大好き』
「どうもありがとうっ…」
キュンキュンしすぎて声をしっかりと張らないと変な声を出しそうな気がした。
私はベッドの上をごろんごろんごろん
足をバッタンバッタン
必死で高ぶる感情を押さえつける。
こんなところ
誰かに見られたらどうしよう。
ばかみたいだ
こんなに喜んで。
『タカ、なんか喋ってよ』
「なんかって、」
『なんでもいいよ』
「…ええ……」
私も
言わなきゃ
キノが好きだよって。
いつも素直に真正面から言えないから、もしくはふざけながら言ってしまうから。
こういうときこそ言わないと
しっかりと
言えるときに
たくさん、気持ちを伝えなければ
もうキノに
気持ちを疑われないように。
「私、」
『うん』
「き、キノを」
『俺を?』
「あの」
『なに、』
「あのっ、」
『おうっ、』
キノが面白半分に声を出す。
今はそういうのじゃないんだってば…
ああ
たった一言なのに
どうしてこんなにも喉を通ってこれないんだ。
「………き」
『ん?』
「あっ、う、あの、」
『なにテンパってんだよ
大丈夫?』
「大丈夫、違う、あの、私
私はキノが」
『あ、わり、真さん呼んでる。
じゃあな、また明日
タカ大好きだよ』
ブチッ