【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―
ちょっとした事件
文化祭
前日である。
今更思うが夏休み終わってすぐ文化祭だからあんなにハードに練習やら準備を組み入れていたんだ。
前日に気づいたなんて…
今日は午前中で授業は終わり
午後は文化祭準備にあてられている。
そちらも気にはなるが
やっぱり今一番頭にあるのは
キノのことだ。
今日はくる
今日は会える
午前中の分しか入っていないバックは軽すぎて
今更いくら走ってもつかれない気がして
私は学校に向かって走っている。
少し早く家を出てしまった。
ボタンかけ違えてるのに今気づいた。
何年かぶりの再開でもないし
この前まで会っていたし
てか昨日会話したけど
どうしてかかなり懐かしい気分になる。
まずなんて声をかけよう
朝だしおはようでいいよな、うん。
怪我は大丈夫かって聞いて
文化祭明日なのにあんた大丈夫なのって
心配して
どついて。
あ、どつかない。
とにかく
優しくする。
いつも通り楽しく会話して
それでいい。
学校につき
靴を履き替え
教室に再び走る。
キノはいつも私より先にいる。
夜寝るの早いから朝は早起きらしい。
健康でなによりだ。
元気なら
きっと教室にいるはず。
私は扉を勢いよく開けようとして、衝動をおさえ
そっと扉に手をかける。
ゆっくりと開ける。
キノの席に目をやる。
キノは
いない
早すぎたのか、来るの。
そうだよな。
ああ
なんでこう毎回期待してしまうんだ。
昨日期待して落胆して学んだはずなのに。
まだ教室にいる人は少ない
私は自分の席にバックを置き席につく。
そして大きくため息をつきながら机に伏せた。