【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―
ダメダメ
無心になれ。
キノは来るんだから
それまでは無心でいろ。
じゃないと期待で溢れて時間が長く感じる。
ばかみたいだ。
バカすぎ。
ただののろけになってんじゃないの。
いつももっと冷静でしょ。
キノが来るのが楽しみで居ても立ってもいられないとか
ガキじゃあるまいし。
ガタンッ
隣の席で
椅子をひく音が聞こえた。
また期待で胸が溢れた。
私は顔をあげる
おはようの言葉を頭で繰り返した。
隣の人物に目をむける。
「あれ?高橋さん?」
「え、………………………あ、
吉田、さん?」
「席間違ってるよ。席替えしたじゃん」
「は、え、あ、あぁ…」
どうやら私は
前の席に座っていたようで。
前のキノの席は吉田さんの席になったらしい。
…はずかし
私はカバンを抱えて窓際の孤島の席へ移動し
再度机に伏せる。
キノ
遅い