【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―
マヒロくんの本命だなんて
いったいマヒロくんはどんな女の子を好きになったんだろう。
やっぱり年上だろうか。
なんとなく年上好きだとは思っていたけれど。
「大人?大学生とか、」
「ううん、同学年」
「えっ、他校の子?」
「ううんー、この学校にいます」
「だ、だれー!?」
「うーんとねぇ、すっごーく優しくて
まったくの他人のために動くことのできる子
他人の気持ちに寄り添って笑ったり怒ったりしてくれる
純粋な子」
「なにそれ、そんな人いんの?!
名前、名前は?」
「いーわない」
「ええ!?」
ニッと歯を見せて笑うエリちゃん。
そこまで言っておいて言わないなんて
逆に気になってしまう。
そのあと何度かゆすってみたがエリちゃんはニコニコするだけでまったく教える気はないらしい。
「けどねー、ヒロちゃんの恋は叶わないかもねー」
ため息をつきながらエリちゃんは呟く。
私はその一言を無視できるわけもなく
また"え!?"と声を出す。
「どうして、マヒロくんかっこいいのに…」
「確かにヒロちゃんはかっこいいけど
ヒロちゃんの好きな人には、大切な人がいるみたいだから」
「それって、」
「その人彼氏のこと、ほーんとにこっちが嫉妬するぐらい大好きみたいでねー
ヒロちゃんの気持ちに全然気づかないんだよねぇ」
やれやれといった感じでエリちゃんは頬杖をつく。
この学年の彼氏持ちの女の子に限られるなら大体頭に浮かぶ人は何人かいる。
いったい誰だろう。
マヒロくんに接点があって
優しい人…
誰だよっ
「まあ、けど、フーちゃんがヒロちゃんのことかっこいいって思ってるなら
案外勝機はあるかもね」
「あるよ!!その子の彼氏さんには申し訳ないけど
マヒロくんは滅多にいないいい男だし」
「そこまで太鼓判押されてもその子気づいてないしねぇ」
「そうだよなぁ、残念だ本当に」
「はっはっはー」
珍しく乾いたような笑い声を出すエリちゃんに疑問符浮かべる。