【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―
まず、学校に行こう。
話はそれからだ。
キノが学校に来ないことはないと思う。
キノは私と文化祭を回りたいと言ってくれた。
だから
来ると思う。
文化祭なら髪型を変えてみたりいつもより可愛くいくのが普通だが
そうこうしている暇はない。
一刻も早く
キノと話をしないと。
制服に着替えてバックを持ち
階段を下りていく。
「あらおはよう冬」
「いってくる!」
「え?学校?」
「文化祭!」
「なによそれ!初耳よ!?」
お母さんの声を無視して家を飛び出した。
結局
昨日はキノ、練習に入らなかったんだな。
大丈夫?ぶっつけ本番じゃん。
これは私のせいでもある。
私がすぐに電話に出ていたなら
メールの返事をしていたなら
こんなことにはならなかったのかもしれない。
けど
今は後悔したって意味がない。
過去には戻れない
やり直せない
だから
今をなんとかするのが私にできることだ。
ちゃんと話をして
誤解を解くことが。