【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―
たこ焼きを食べ終わって
マヒロくんは私の家まで送ってくれた。
「じゃ、高橋さん、またあした」
「ばいばーい」
マヒロくんの後ろ姿に手を振りつつ心の中でキノのことを思った。
あの子猫結局どうしたんだろ。
キノは若いおじさんと二人でアパートに住んでいる。事情は聞いたことない。
アパートって動物飼えないよね確か
おじさんに怒られて子猫を手に載せてしょんぼりしてるキノが目に浮かぶ。
キノは動物とか虫が好きだ。
ちなみにナンバーワンはカエルだ。
いつかの日、キノがカエルを手のひらにのせて見せに来たとき全力で逃げ出したことがあって
それから数日キノを警戒して無視してたら
それ以来キノが私に虫を見せにくることはなくなった。
懐かしいなぁ
「タカー!!」
「おぅえ!?」
何か変な声出た!
家の前で声の聞こえた方を向くと
キノが立っていた。
「ど、どうしたの、キノ帰ったんじゃ」
「帰ったよ、で、はい、これたこ焼き」
手に下げていた袋の中からさっき見たばかりのパックを1つ取り出すと差し出してきた。
「タカのはカツオブシ多目で生姜抜いてもらったから」
「え、あ、覚えてたの?」
「うん、さっき思い出した」
さっきまで忘れてたんかい!
…まあ、思い出しただけいっか。
「ありがとう、嬉しい」
ちゃんと帰ってきてくれた。