【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―
「ねえ、ちょっと、フユ、彼氏じゃないの?」
「もう、ちょっとお母さんは家に入っててよ!!」
「なに恥ずかしがってんのよ、あなたちょっと家上がんなさいよ
麦茶のむ?アイス食べる?」
「もーーーっ!!」
お母さんは私の言葉を無視してキノを家に上がらせた。
キノは相変わらず借りてきた猫みたいに子猫を手に持ったまま笑いもしない。
「フユの部屋は二階だからね〜」
そういってお母さんは台所に入っていった。
キノは棒立ちして固まってる。
「はあー、キノ、ちょっと待ってて
部屋片付けるから」
キノをおいて部屋に入った途端
なんか緊張が押し寄せてきた。
なんで緊張してんの私
そうだなんだかんだいって男の人部屋入れるなんて初めてだった。
どうしよう、こう、女子の部屋って普通可愛いカーテンとかぬいぐるみとかあって
ファッション雑誌とかあるんじゃない!?
私の部屋、こざっぱりしすぎじゃない!?
ぬいぐるみないし雑誌ないし
てか色気ない!
いや、キノにそんな気を使う必要ないだろ
だってキノの部屋はいつもマンガ散らばってるし
まだ片付いてるほうでしょ。