【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―
「話ってなに?」


「そう急かさないでさぁ
ゆっくりいきましょーよ」

「…あそ。そういや最近高橋さんはどうなの」


はい、きた

高橋さんの話題。


「どうって?」


「なんか、こう、あるだろ。元気とか、キノと微妙とか」


「うーん、よくため息つくけどキノくんとは良好かな」


「ふーん」


顎に手を当ててヒロちゃんは眉をよせた。

ヒロちゃんはイケメンだ。
誰がどの角度でどう見てもイケメンだ。


その上基本優しいのでモテないはずがないのだ。



私も好きだし




だけど


ヒロちゃんには好きな人がいる。

私にはわかる。




「ヒロちゃんはフーちゃん好きだよね」


「……………………………………いや?」


「そんだけ沈黙しといて誤魔化す?」



口に手を当てて笑いをこらえる。

ヒロちゃんは沈黙のなかで何を思った?


えっ、なんでこいつしってんの!


とか?


ヒロちゃんにはまだあの頃の優しさは戻ってない。

これは私に限りだ。


だけどこうやってまた話すことが出来るようになっただけで大きな進歩だ。



「フーちゃんきらい?」


「んなわけない」


「じゃあ好き?」


「キノの女だ」


「じゃあきらい?」


「なんでお前何でも二分すんだよ」


「外国人思考でして」


「ばかか」



あの頃はもっと綺麗な言葉遣いだったのにねぇ

そう、言うなれば

今のフーちゃんへの対応が昔では普通だったわけだけど

今ではあんな優しいのフーちゃんオンリーだ。


私以外の女の子には男として最低限の紳士さを見せてくれるだけで。



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