【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―
「だったら、フーちゃんにあんな迫ることないんじゃない」
「あれは高橋さんの反応がおもしろいから」
「フーちゃんの反応を知りたいってつまりそうなんじゃないの」
「お前しつこいな」
ヒロちゃんがふーっ、とため息をついた。
しつこいなって
こっちは心配してやってんのに、薄情なやつだな。
「ヒロちゃんが苦しいのは嫌なの」
「別に苦しくない」
「ヒロちゃんは案外顔に出るんだよ」
舞台からヒロちゃんが見に来ていたのが見えていた。
ヒロちゃんは舞台が閉まる前にいなくなってしまった。
キノくんがフーちゃんにキスしたところでだ。
どうみたって
そういうところを見たくないからじゃないの?
夏休みのカラオケのときだって
私が気をきかしてメニュー取りに行ったとき
ヒロちゃんフーちゃんの膝で膝枕してたじゃん。
フーちゃんは恐ろしく鈍感だからヒロちゃんの下心に気づいていないけれど
そういうことでしょ。
「フーちゃんは全然気づいてないよ」
「………知ってる」
やっと
認めたのだろうか。
逆に認められたらこっちが苦しくなってくるなんて
自分で言わせたことなのに。
「…フーちゃんのこと、…好き?」
「好きだよ。ずっと」
そっか
そっか
けど
そりゃあそうか。
私もフーちゃんを好きになったみたいに
ヒロちゃんもフーちゃんを好きになった。
それだけだ。
フーちゃんのことを知れば
フーちゃんを悪く思う人なんて居なくなる。
フーちゃんは優しい人だから。
「キノに好きなやつ出来たって聞かされて
最初はなんかさっぱりした子だと思ったんだけど
いつの間にか」