【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―



「ヒロちゃん、ごめーんね」


「あ?なに」


「色々、たくさん、今まで」



まあ、正直

私が悪いって今でも思ってないわけですけど。

だいたい、けんかってそういうもんじゃない?

どっちも謝りたくなくて

意地はってけんかして


悪いなんて思ってなくたって
一言言えていたら


変わっていたかもしれないのに。




「ふーん、じゃ、俺も

ごめんね」


「…………………………え?」


思わずヒロちゃんの顔を見上げる。


「色々、たくさん、今まで」


「な、なにが」


「痛かったろ。ここ」



ぷにっと、ヒロちゃんの人差し指が右の頬に突き刺さる。

とっさにばっと手で頬を覆うと
一瞬だけ目があった。


あれ

今、笑った?


ねえ


笑った!?



「ねえ!」


「なんだよ」


「もう、怒らないの?」


「別に?てか、怒ってないし」



そっか


そっか〜


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