【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―


「女の子の部屋って、もっとぬいぐるみとかあるもんだと思ってた」


「ははは、そんなのは幻想でしょ」


たぶん、普通の女子の部屋にはあると思いますが


「タカがフユって呼ばれんの、なんか新鮮、面白いね」


「そっちが本名ですから」

「タカはタカなのに、フユでもあるんだなぁ」


「…えーと、そうね」


ここ一年触れてもいない東京タワーの模型を移動してみた。


私は立ったままキノと話している。
目合わせたらなんだか変な顔しちゃいそうな気分だった。





「タカも、座って

一緒に子猫見ようよ、にゃんにゃん」


「………うん、何を言ってるの」


キノの隣に膝をついて子猫を食い入るように見つめた。
子猫はすっかり毛も乾いてフサフサした真っ白の毛並みに包まれている。



「はぐれたのかな親と」


「捨てられたのかも」


「こんな可愛いのにな

あ、ここの毛だけ茶色」


キノは微笑みながら子猫を撫でた。

そんなキノが微笑ましくて可愛くて
私も笑った。


「名前、どうするの」


「そう、俺ずっと考えてたんだけどさ
"大輝"ってどうよ」


「なんか人間味あるね」


「大きく輝く子になりますようにって」


「ぷっ、ほんとの親みたい」


「俺らの初めての子供!」

「毛むくじゃらで可愛いね」



今のキノの言葉にドキッてしたのは一生秘密にしておくことにしよう…

どうせキノはなんにも考えないで言ってるんだろうし
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