【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―

たまたまだ。たまたま。


鞄を持ち直し登校再開。

しかし
三回目は早かった。


「…………あの、」


通りすぎた方向からまたもや現れたヤンキー。

目を背ける私を尻目に

私の道をふさいで、私の前に立ちはだかった。

なんだって。

わ、わたし、なんかした!?


うわ近くで見ると一段と目がキリッとしててかっこい…じゃなくて


「なにか、」


出来るだけ平静を装って口に出す。

じっと目を離してくれないヤンキーくんに、私は冷や汗をかく。


なんなんだろうなんなんだろう

怖いぞおーい。



「…お前」


「はい」


「名前は」


「た、高橋冬です」


「…あそ」



聞いたのそっちだろ!?
なんで私があそって言われなきゃならないの。


「ちょっと場所知りたいんだけど」


「え?」


「この近くに高校が一個あると思うんだけど、知らね?」



知ってるもなにも
私が通ってるとこですよねー。

しかも制服着てるんですがわからないか?


「私これから行きますけど」


「あ、そーか。じゃあついてくわ」


「はあ」


「歩け」


「はい」



まるで王様みたいな横暴な振るまいに内心ドキドキ

ときめきではなく恐ろしいほうの。

普通に歩く私の後ろをぴったりとついてくるヤンキー。

いったい私の学校に何の用が…

まさか襲撃に!?

襲撃するくせに道知らないの!?


なわけないか。


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