【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―
何がいいねなのかわからんが
アザミくんという人をなんとなく掴めてきた気がする。

王様みたいな人

だけど結構接しやすい。


話してみるとそんな怖くもないし



「アザミくん、なんでここに来たの?」


「まあ、色々あってな」


そこは誤魔化すのか。
話そうと思って話ふったのに。


アザミくんは私から目を離すと遠くに目をやった。


すると
アザミくんの手が動いた。



「あいつ、」


「どれ?」


「前の一番右、」


「キノ?」



アザミくんが指さしたのはキノだった。




「キノ、あいつは、どんなやつ」


どうしてたくさんいる教室のなかでキノ限定で聞いてくるのだろう。


まあ、確かにいつも机にへばりついていて気になるのはわかるが。


やっぱり

二人にはなにかしら関係があって、だからこの髪どめにキノが反応したのかもしれない。


「えーと、虫とか、生き物好きで
行動読めない。変人」


「…ほーお」


「そのくせ、顔はいいから人気ある」


「腹立つな」


「それから、何も考えてないようで考えてて

やらせたらなんでもそつなくこなして、器用で

隠し事が結構ある」


「…詳しいんだな」



そう言われて口を閉じる。
しゃべりすぎた。

気持ち悪いやつだと思われたかもしれない。

初対面なんだからもっと慎重になるべきだった。




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