【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―


「ふーん」


アザミくんは手に顎をのせて鼻先を見つめた。

私は弁当のなかに目を戻して次に何を食べるか箸をうろうろさせた。


よしそろそろたこさんウインナーに手をつけようか。グサリ。




「それって、キノが何も言ってなかったら
今でも好きじゃないってこと?

てか、それって本当に好きなの?」



ウインナーを刺すかわりに
心臓が
グサリと音をたてた。


改めてそれを言われると痛い。

確かにその通りだから



「あのね、付き合ってから好きになるってこともあるの。
色々あんだよ」


エリちゃんのナイスフォローに全力で感謝。

改めてウインナーを刺そうとする前にまたアザミくんが口を出した。



「なんか俺そういうの理解できねーわ。

好きじゃなくても付き合える神経わからんし

付き合ってから好きになるって、ある意味洗脳されてるみたいだし」


「そんなことないでしょー」



エリちゃんはけらけら笑っていたけど
私にはすべての言葉が突き刺さっていた。

洗脳…

確かに、確かに一理ある。

キノといるとなんだか大抵のこと許すようになっちゃったし

めんどくさい部分も可愛いなんて思えるくらいになったし。


つまりこれも洗脳されてるってことかもしれないけど。

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