【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―

だけど

洗脳でもなんでも



まったく解けないんだから仕方ない。




「うん。洗脳だ、これは

解けなくて困ってる」



こんなに好きになるなんて思わなかった。

ただキノの隣は居心地がよくて

なんとなく大切で

それをあえて考え直すことはあまりなかったけど、今の私は胸をはってそうなのだと言える。



「解けない?」


「好きになりすぎたんだよ」



なんだか結果的にアザミくんに反抗するような物言いになってしまった。


けどいい。


私の気持ちに嘘はない。



だって


私は誰よりもキノが




「フユ騙されてないの?」


わざと心配そうに私に指をさしエリちゃんに問いかける。

エリちゃんは特に答えるでもなく笑っている。

私はやっとのことウインナーを突き刺した。


まったく


キノは理解不能な点も多々あるけれど、私とキノについては正直放っておいてほしい。


何も知らない人に

あれこれ言われたくない。

ウインナーを口に入れようとしたとき

その腕が止められた。


アザミくんが私の腕を掴みながら覗きこんで、私は身体中が固まってしまった。

ずるい

いきなり近寄るのは、ずるい


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