【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―
「なにいってんのかわかんない」
「そーだよ!キノくんは誰が見たってフーちゃんにぞっこんなんだから!」
アザミくんはクスッと笑って私を見下ろした。
「あいつとは昔から居たから
考えてることはなんとなく分かるよ。
フユを最初に見たときから思った」
「どういうこと」
「知りたい?」
足を組んで肘を机につきながら王様みたいに上から目線
腹立つ
キノと違って
純粋に態度が腹立つ。
けど、この人本当にキノを知ってるんだ。
もやもやしてたのがやっと確信に変わった。
おそらくキノが中学の頃に転校してくる以前をこの人は知っているんだ。
私の最も探し求めていた人だ。
キノの過去を知る数少ない人。
私は息を飲んだ。
やっと知れるかもしれない
キノのことを
「知りたい」
前のめりになって耳を傾けた。