【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―
キノには聞けない。

真さんにも聞けない。

もう私が聞けるのはこの人しかいない。

だったら聞くしかないでしょ。

アザミくんがじっと私の目を見て一瞬ため息をはいた。


そして体が重苦しくなるような眼差しを私に向けた。


「あいつは」



ガッシャーンッ


アザミくんの机が

宙に飛んだ。



アザミくんの言葉は途切れ小さくうわっと叫ぶと椅子から立ち上がって引き下がった。


私は箸を手から落として肩をあげた。


エリちゃんも目を丸くした。



机がもう一度盛大な音をたてて床に落ちたとき

その向こうにいる人を見た。


一瞬誰だかわからなかった

見たことのない表情だったからだ。
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