【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―
「タカ、アザミと話すな」
「なんで」
「いいから」
「話しかけられたら?」
「それは…、無視だ無視」
「先生が授業で隣の人と相談しろって言ったら?」
「えと、ばれないように、無視だ」
「私そんなに信用ない?」
せっかく孤島の隣に人がやってきたんだからさ。
それに
昔の知り合いなんじゃないの?
「キノもかりかりしないでさ、ほら、アザミくんと友達になりなよ」
「だってさ」
アザミくんがキノにベーッと舌を出した。
なんでこの人はキノにこんな挑発的なんだ。
「嫌だ、無理」
「どうして?」
「嫌いだから」
ばさりと一瞬も躊躇わずにアザミくんを毛嫌うキノ。
どうしたものか
なにか嫌な思い出でもあるのかな。
「フーちゃん、もう次の授業準備しなきゃ」
「あ、うん。キノも早く準備しな」
「…ん」
ぼそっと返事するとキノは不服そうな顔で席に戻っていった。
なんだか今の一瞬ですごいことが起こったような気がするのにもう何にもなかったみたいに普通にしてる。
一部またいちゃついてるよーみたいなちゃかす声が聞こえるけど。
アザミくんは飛ばされた机に肘ついてるし
エリちゃんもノートに目を落としてる。
結局キノは
何であんな行動をとったのだろうか。