【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―
そうだ昼休みいっつもキノがどうでもいい話してくるから全然話の内容頭に入ってきてなかったんだ。
劇がシンデレラになったことしか知らなかった。
「で、高橋さんが意地悪な姉2で、
木野くんがシンデレラ役の七瀬さん含め何人かの女子の希望で
王子役で」
「はあ!?」
キノが
王子役!?
「え?王者役?」
「キノ、ちゃんと聞きなよ!
あんた王子役だって、無理でしょ
え、だって、キノですよ?
キノが王子とかシンデレラ待ちぼうけじゃないの?」
「え、恩人役?」
「イヤホンをとれ!!」
なんで私の方とりみだしてんだ!
だいたいなんで女子の希望でキノが王子役になるわけ?
だってキノが王子なんて…
…そりゃ顔は綺麗だし
ちょっとカッコいい服着せたらそれなりにはなるだろうけど
「うちのクラス王子の服装合う人考えたら木野くん以外いなかったのよ
演技指導は演劇部の寺坂さんがちゃんとしてくれるから
お願いできない?
いや、よろしくね?」
「……えっと、」
「じゃあ練習の日時は後程連絡するんで」
キノが答える間もなく去ってしまった。
キノはよくわかっていない様子だった。