【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―

ねえ

嫉妬したの?

お前は可愛いやつだな。

むーっとしたキノが可愛くて何度も撫でた。


そういやキノは、アザミくんを知らないって言ってたな。

キノはまた隠し事をしてる気がする。

私はそれをキノに聞くことは出来ないのだけど。


「タカ、俺のこと、好き?」

「キノ女々しいよ」

「女々しくさせたのは誰だよ」



私って言いたいの?

私キノが女々しくなるようなことした?

なに。女々しくなるようなことって。


キノは、また普通に戻ってきていた。


「いいよ。もう。

どうでもいいから俺にアイラブユーって言って」

「やだ」

「ほんとタカって変わらない」



ため息をつかれた。

言えって言って言う人いる?
恥ずかしいし
言わされるのは好きじゃないの。


私は不意打ちで言ったときのキノの顔が好きなの。


アイラブユーをマンネリ化させるのはやだからね。



まあ、

ケースバイケース、ね。



「キノ、」

「んー」

「うちおいでよ」



キノが突如明るい顔に変わった。
わかりやすくてありがたい。



「最近、大輝ちゃんに会っていないでしょう」

「行く、行く」

「はいはい」



キノにしっぽが見える。ブンブンと振っている…

笑うキノ

キノはやっぱり笑っている顔がいい。

ご機嫌になったキノを引き連れて自宅に向かう。

他愛のない話をしながら

キノは赤とんぼにいちいち目移りしながら。


いつものキノ



キノが変わる瞬間がある。
急に怖い顔をするときがある。



なんでなんだろう



私はただ

その理由を知りたい。



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