【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―

「大きくなったな」

「ちっちゃかったもんね」

キノが大輝ちゃんを連れてきてから約1ヶ月ほど

ちょっとばかり成長した大輝ちゃんでもやっぱりまだ子猫だけど。


キノがゴロゴロ大輝ちゃんと戯れているのを眺めながらカエルのぬいぐるみを抱き締めた。


「あ、」


キノが唐突に声を出す。


「なに」

「今年の夏海行かなかった」

「文化祭準備で忙しかったもん」

「来年だなまた」



別に去年だって行ってないけれど。
うん、海ね。楽しそう



「そうだ冬はイルミネーション見よう」

「キノ、イルミネーションなんか見たいの?」

「タカに見せたいんだけど、ちょっと遠くまで行ったら豪勢なやつ見れんの」

「へー」


なんか恋人同士でそういうとこいくのロマンチックだ。
行ってみたいかも


「ちゃんと予定決めないとすぐ過ぎるから」

「うん」

「そうだ、来年は海外行こうか
フィンランド、アメリカ、ボスニアヘルツェゴビナ、」

「来年は受験だよ、ばかキノ」

「ああ、あったねそんなん」


軽すぎでしょ

いつにもまして言ってること突飛だし。




「タカ、誕生日は何がほしい?」

「うん、今?うーん」

まだ9月よ?
気が早すぎるんじゃないの。

とくにこれといって欲しいものが浮かばず唸る。
今一番欲しいもの…

そういやノート買わなきゃなー

いやいや
誕生日までに自分で買うし。



「なんでもいいよ」

「それ一番困る」

「誕生日の日に、一緒に居てくれたらそれでいい」

「なにそれ。泣ける」

「泣けるの?」



今日もキノは理解不能です、と。

< 232 / 415 >

この作品をシェア

pagetop