【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―
それからやるやらない言い合ってるうちにあれよあれよとキノに流されベッドに引きずり込まれる始末。


ダメだ
この状況


キノの目付きが完全にあれだし

いや、それより

この状況をあまり悪くないと思っている私が一番問題だ。

このまま私の初めては奪われるのか

(不本意だが)夢にまでみたことをしてしまうのか


キノと…



「…タカ…、優しくするから…」

「あ、……」



耳元に口を寄せてキノが久々に王子ボイスで呟く。

どうしようどうしよう

私死ぬかも。


だいたい、こんな流れでうまくいったこと一度だってある?

そうだ夢だって結局キノがオニヤンマ見つけてどっか行ったりなんかネコになっててそれどころじゃなかったり


…いやな予感しかしないし



「うわ、き、キノっ」


首筋に何度もキスをするキノのせいでそんな考えが消し飛ぶ。

あれは夢で、これは現実なんだ。

そう簡単に邪魔なんか入るわけない。


そう

私は今日この場でキノと一線を越えるのだ。

そうに決まっている。


やっと決心が固まり体の力を抜く。

私はこのまま

キノに身をまかせればいいんだ。

邪魔なんて

入るわけない










「冬ーーー?あんた洗濯もんは………」




ああなんと愚かなんだろう。


夢よりも恐ろしい邪魔が

そして現実的な邪魔が

やっぱりきた。


だってラブコメじゃあるまいしこんな分かりやすい邪魔なんて入るなんて思わないじゃん。

てかいつも来ないじゃんあんた!!


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