【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―

とある休日に

あれからというもの
いつも通りである。

アザミくんとキノは相変わらずいがみあってはいるけど
前みたいな危なっかしさはない。

ただアザミくんがちょっかいかけてはキノが毛嫌うぐらいだ。


そういえば


アザミくんはキノに用があると言っていたな。

なんのことだろう。

そう思いながらキノとアザミくんの会話に耳を傾けるがあれ以来アザミくんがそれらしい話題を出すことはなかった。


そうしてアザミくんが転校してきて一週間以上がたった。


アザミくんにキノのことを聞こうと思うのに

キノがどうしても間にいて聞けなかった。


しかしながら

好機が訪れた。


この一週間のなかでキャンプの班決めをしたのだが
見事にアザミくんと同じ班でキノとは別になった。

神はいたようだ。

純粋にキノと離れたのは残念だが結果オーライだ。

キャンプでなら聞くことが出来るだろう。


そんなこんなで週末を迎えた。


キャンプは来週に待っている。

しかし
何もない週末

だけど雨のせいで外には出れないしグダグダとソファーでテレビのチャンネルを意味もなく変える。

最近考え事が多くてこんな暇じゃなかったから

なんか困る。

週末の昼前なんて面白いテレビなんかやってるわけもなく

かといって課題に手をつける気にもならない

ただただ面倒。なにもかも面倒。

お母さんもお父さんも仕事だし家には私と大輝ちゃんだけだ。

なんとなくテーブルの新聞を開いて中のチラシに目を通してみる。


車の広告スーパーの広告


ベラベラめくっていくと、あるところで手を止めた。
新しく出来たレンタルビデオ店のチラシ。


新作半額、旧作…ご、50円だと…

どうなってんの今のレンタルビデオ業界。


こんな安く借りれるのか。

そもそも映画をあまり見ない私だが、どうしてもこの安さに魅力を感じてしまい

そそくさと寝巻きから私服に着替えていた。


暇潰しにはもってこいだろう。

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