【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―
しかし一枚ってのもあれだな。ここまで来たし。
もう一枚くらい…
レジへ向かおうとした足をもう一度旧作コーナーに進めようとした。
ドンッ
「うわっ」
しまった
急に立ち止まって振り返ったから人にぶつかってしまった。
「すみません」
とっさに頭を下げて謝ると
頭上からクスクスと聞き覚えのある笑い声が聞こえてきた。
私は驚いて顔をあげる。
「ま、マヒロくん」
「あはは、久しぶり?高橋さん」
「本当に!あれ?夏休み以来?なんで会えなかったんだろう!!」
異常にテンションがあがってマヒロくんにまあまあと制止され、口を閉じる。
「キノが弁当忘れなくなったからじゃねー?」
「そっか、あ、マヒロくんもDVD?」
「うん、暇だから来てみた。借りるつもりはないんだけどさ」
「え、借りなよ、安いんだし」
「だねー、高橋さんはなんか借りんの?」
「えっと、これと、もう一個探す」
「俺手伝うよ」
素直に喜び手伝ってもらうことにした。ザ・現代人の彼ならばきっといいチョイスをしてくれるだろう。
それにしても、久しぶりだ。
学校でも会わなかったし
キノも最近マヒロくんとはあまり会ってないみたいだ。
やっぱりあの出来事が関係しているのだろうか。
「これ、二年前のなんか、賞とったやつだって」
「おもしろい?」
「うーん、うん、おもしろいんじゃない」
「じゃあそれにする」
「どうぞ」