【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―
マヒロくんに差し出されたDVDを受け取り今度こそレジへ。

マヒロくんがいるとなんでこんな心強いんだ。



レジにDVDを二枚置く。



「ありがとうございます、カードの方は、あ、」



"あ"?


手元を見ていたため何が起こったかわからなかった。
その時ふと店員の札が目に入った。



カヤノ




カヤノ…




「アザミくん!?」


「フユ、はは、来たんだ。あ、ちょっと客多いからあとでな。もうちょいでシフト終わんだ。

あ、カードは?」


「な、ない」


「じゃあこれに記入事項書いて、あと身分証明するもの出せる?」


「は、い」



なんだ今日は

知り合いに会う確率高すぎない?


アザミくんがここでバイトとはまったく考えなかった。

こんなことなら髪もちゃんとセットしてくるんだった。

まあ別にいつもこんなだけど。



住所や電話番号を記入して学生証を出すと、アザミくんがカードを作ってくれた。



「一週間借りれるから」


「ありがとう」


「あ、せっかく来てくれたしおごってやるよ」


「え、いや、100円ぐらい…」


「いやいや遠慮すんなって」



いや本当に
安いから来たのに100円おごってもらうとかいくらなんでも…




「あんた、店員だろ。高橋さん、俺がおごる」


「へ、や、いいって、100円だから」



マヒロくんが隣から100円を差し出して来てさらに面倒なことに

だから…

100円ぐらい自分で払えるって


「いや、俺がおごる。店員関係ねーし」


「店員は黙って接客してろよ」


「あの、100円ぐらい自分で払うし…はい」


「……まいどー」


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