【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―
アザミくんの手のひらに100円玉をおくとアザミくんは苦笑いしながら100円をレジに入れた。
やっと買えた…
「茅野く〜ん!シフト交代だよ〜!」
店の奥から可愛らしい声を出して高校生ぐらいの女の子がエプロンをしてレジにやってきた。
ここでもアザミくんは女の子に好かれてるようだ。
「あ、ああ。高橋さんすぐ行くから待っててよ」
「うん」
アザミくんが奥に入っていくのを見届けてふと気づいた。
さっきの女の子がじとっと私を睨み付けていたことに。
そうしてあろうことか"ねえ"と話しかけられた。
「あなた、茅野くんの彼女なんですかー?」
「ちがいます」
「じゃあ、茅野くんのこと好きなんですかー?」
なんでこの子語尾いつも伸ばすんだろう。
しかし面倒なのに捕まった。
「私ー、茅野くんのこと狙ってるんでー、あんま話さないでくれますー?」
「いや、私、わっ」
急に肩を引っ張られた。
するとすぐ体が安定した場所に収まる。
…え?
恐る恐る顔をあげると、マヒロくんが私の肩を抱いていた。
な、なにゆえ
「心配しなくていーよ。
この人俺の彼女だから」
「あ、そうなんですかぁ」
「君かわいいし、きっと上手くいくんじゃないかな?
頑張ってね」
作り上げられた最高の笑顔に店員の女の子がみるみる頬を赤くするのが見えた。
策士だなぁ…
けど、助かった。
少し強引ではあったけれど。