【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―

まだ空の色が怪しい

早いとこ帰りたいがせっかくこんなとこで会えたのにすぐ帰るというのも…



「フユ、何借りたんだっけ」


「あ、えっと、猫となんか賞とったの、」


「へー、映画よく見んの?」


「映画館とかテレビで放送しているのはたまに見るけど借りたの初めて」


「まじか」



だから初めて自分の力で借りたDVDが異様にうれしい。

無意識にいつもよりテンションも上がる。

するとマヒロくんが首を傾げた。



「高橋さんDVDプレイヤーとかあるの?」


「え?DVD、プレ、」


「プレイヤー、ないの?まあパソコンでも見れると思うけど」


「パソコンならお父さんの仕事用のノートパソコンが…」


ノートパソコンは

今お父さんと共に会社にある。

しかもお父さんはいつもパソコンで家で仕事してる。

お父さんが帰ったとしても見ることができない。

暇だから借りてきたのに見られないんじゃなんのために借りたんだか。



「………」


「なんか不都合あるならうちくる?高橋さん、近いしさ」


「え」


ちょっと魅力的な提案に心が揺らいだ。


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