【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―
ぞろぞろとエリちゃんの家に足を運びエリちゃんの家にやってきた。

普通の一軒家。

だけど中は新築みたいにきれいだった。


「あがってー、ヒロちゃんフーちゃんのDVDセットしといてよ。
アイスとブドウ持ってくるから」


「了解」


この二人の会話だけで二人が本当に幼馴染みでよく家を行き来していただろうことがうかがえた。


台所にエリちゃんが入っていき

私とアザミくんはマヒロくんについていってリビングに来た。



「さて、高橋さんどっちから見る?」


「じゃあ、マヒロくんが選んでくれたの見よう」


「おっけー」


マヒロくんにDVDを預けると慣れた手つきでリモコンを操作していて思わずおお…となる。

アザミくんがソファにドスッと座り込んで横になるのが目に入った。



「アザミくん、人んちでそんなくつろいじゃダメだよ」


「ちょっとだけちょっとだけ」


「殺されてもしらないよ」

「フユは他人の家行くとき殺されること念頭に置いてんのか」


「やだな、冗談じゃん」


「…なんか今日はやけにテンション高いじゃん?」



仕方ないじゃん。

初めて自分の力で借りたDVDを友達の家で大人数で観賞。

すごく楽しそうだ。

それもアイスとブドウの特典付きだ。

これはテンション上がらずにはいられない。


私もソファに腰かけてみる。



「…フユ?」


「はい」


「髪どめしてない」


「ああ、今日は家に。そうだ、いつ返そう」


「いいよ。もう、それはフユが持ってて」


「え?」




意外な返答に困惑した。

聞きたいことがどんどん溢れ出す。



「あの、アザミくん、もしやこれは彼女とかにもらったものじゃ」


「違うよ、彼女いねーし」

「じゃあ、これは、なんなの」


「なにって、ただの髪どめだろ?」


「キノが、これを見て反応したんだけど」



そう口に出すと、アザミくんが眉を寄せた。


何もないわけがない。


だから、アザミくんは今表情を変えたんだ。


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