【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―
「あ、可愛い」
そう呟いたのは
キノ。
彼女の前で他の子可愛いとか普通言うか。
アイドルとわけがちがうんだから。
「よかったね、可愛い子が相手で」
どうせ私は何一つ七瀬さんに及びませんよ。
取り柄なんてなんにもないし。
「あの子髪やわらかそう」
「王子役で触れるんじゃない」
「てか体ちっちゃいな」
「……………」
なになにさっきから
あの他人にあまり興味をみせないキノが七瀬さんのこと絶賛じゃん。
そりゃ七瀬さんすっげー可愛いし
気持ちわかるけど
もう
なんなのもう。
「タカ」
「…」
「妬いた?」
「はい?」
私を見上げるキノはニヤニヤ笑いながら私に言った。
「…別に」
「ほんと?」
「………」
「ふふーん」
妬かないわけないじゃん。
いくらバカでアホのキノでも
彼女は私なのに。
「俺、シンデレラより意地悪なお姉さんと結婚しちゃったら
面白いのにね」
「私は王子が舞踏会サボらないか心配」