【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―
もう平気。
来週のキャンプで、アザミくんにちゃんと聞く。
それでキノの苦しみをちゃんと知って
知った上でキノときちんと話そう。
背筋を伸ばして真っ直ぐ前を見つめた。
バタバタと橋が振動している。
子供が走ってきたのだろうか。
危ないなぁと他人事のように考えながら戻ろうと足を動かした。
そのときすれちがった人物に私は固まった。
子供じゃなかった。
それだけでこんな衝撃を受けたりはしない。
私はばっと振り向いた。
「キノ!」
遅かった。
キノが橋の手すりに手をかけるとふわりと体を浮かせ
その勢いでそのまま落ちた。
あれ
なんで、
あら、もしかしたらキノじゃなかったかも
だって、今回は飛び降りる理由もないし
だいたいこんなたまたま来たときに偶然なんてあるわけ…
いやけど
キノだった
あれは間違いなくキノだった。
にしても、なんで
なんでまた
嘘