【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―


坂道はスピードが出ないからなかなか目的地につかない。

余裕で二度寝して、急にガタンという振動が全身に響きバスの移動は終了した。

「おきろー、降りたら班長点呼とって報告なー」


目を擦りながらバスを降りる。
山だけあって肌寒い。
山から風が吹き降りてきているみたいだ。

駐車場にバスが止められているけど辺りは変わらず木々に囲まれていてキャンプ場の気配がしない。

ぞろぞろとバスから降りてくるジャージ姿の人たちはばらばらと自分の班の列に並びに行ってる。




キノとはここでお別れだ。

「バイバイ、キノ」


「え、」


「班違うんだから、ほら早く並びなよ」


「えっやだやだやだ」


顔を青くして顔をブンブン振るキノ。

幼稚園児か。


「木野くん、うちの班でしょ。早く来てちょうだい」

「はーやくー」


リュックを背負った吉田さんが腰に手を当ててキノを見据えていて
その後ろからちっちゃなまこちゃんが顔を出しながら手を振っている。


なんとなく私も振り返しながらキノの背中を押す。


キノはしぶしぶ吉田さんに着いていった。


さて、私も並ばなくては


自分の班を探してうろうろ。見慣れた背中が見えてそちらにはや歩きした。


「フーちゃんおはよー、」

「おはよう」


「フユ顔にあとついてる」

「うそ、」


頬を両手で押さえながらしどろもどろ。
班長のエリちゃんが点呼をとり、先生に伝えに行くのを見届けてその場にしゃがんだ。


あー


ねむい、寒い、ダルい

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