【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―
あの2人仲良しだもんね。喧嘩してるけど大丈夫かな。
こんど吉田さんのことザワザワって呼んでみようかな。
やめとこう。


「後ろ騒がしいな…キノの班か」


アザミくんが隣を歩きながら怪訝な顔をした。


「てかぁ、私足疲れたフーちゃーん泣くー…」


「さっきまでスキップしてステップ踏んでたじゃん」

エリちゃんが私の腕に腕を絡めながらぽてんと頭を肩にのせた。

エリちゃんの場合疲れたのではなく完全にあきたんだろう。

ちらっと見たエリちゃんのメモ帳にはなにやら可愛らしい猫の落書きがあるし。
飽きたんだね。



「確かに疲れた、いつ着くんだこれ」


「もうちょっとじゃない?」


「かれこれ一時間半だよー」



3人一緒にため息。はぁ。


するとガイドさんが足を止めて手を振った。



「はーい、ここまでですね。あとは引き返してキャンプ場に向かいましょう」



ズガーン


その一言で疲れのおもりが新たにのしかかる。

また来た道もどるの!?

一時間半の道のりを!?


膝をついて嘆きたい。


足いたい。


疲れた疲れた。



げっそりした顔で、もとの道を引き返していったが、案外早く、30分でキャンプ場に到着した。


ああそうか。


行きは止まって長々と解説とかしていたからあんな遅かったんだ。


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