【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―



「七瀬さん?どうかしたの」


「ふふ、てか、足早いね高橋さん!」


「うん、運動は苦手だけど競歩は得意なの」



我ながら何を言ってるのかしら。

すると七瀬さんが上品に吹き出した。


「もう、やだ、高橋さんおもしろい」


「そんな、あのなんか用ですか」


「うん、そう、用なの」


「どうしたの?そんなに急いで」


「うんえっとね、木野くんちょうだい」


「うん、………………は?」



今なんか
変なこと言わなかった?

何の用ですかって私が聞いて

七瀬さん、息を整えて

得意の天使の笑顔で



「だから、木野くん、ちょうだいね

高橋さん」


「ちょっと、よく分からないんだけど」



優しくて純粋無垢な美しい美少女が

なに食わぬ顔でものすごいことを口にしている。


いったい何を言ってるの


少女漫画じゃあるまいし
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