【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―


階段を降りてドアを開けると、マフラーで鼻まで覆っているキノがいた。

耳が赤い。寒そうだ。

本当に、来たんだ。制服着てるし。



「さみぃ……ぅぅ」


「あ、どうぞ」



キノを中にあげると、キノはマフラーを緩めながら靴を脱いだ。

キノが立ち上がるのを待って、二階にキノを連れていった。



「キノ、なんか飲みたい?」


「リンゴジュース飲みたい」


「コーラとオレンジと紅茶しかない」


「……水でいいや」


「そう」



一度一階に戻り、コップに水をいれて、ついでにお菓子も持って二階に戻ると、キノがベッドに寝ていた。
しっかりと布団をかぶって。


「ちょっと。なにしっかりと寝てるの」


「俺、すごい熱あるから」

「大丈夫?どれぐらい?」

「学校で計ったら38度越えてた」


「まじか」



私といい、キノといい
風邪の季節か?


…いや、もとはと言えば、キャンプのとき私がずっと調子悪くて

それにも関わらず、キノと…キスとかしていたからなのかもしれない。


だとしても、



「調子悪いなら最初から学校行かなくてもいいじゃん」


「だってタカに会えないのは嫌だったから」



グサッ

私は、キノほど熱ないにも関わらず今日は休もうと即座に決めたのに。

恐ろしい罪悪感だ。


その上キノがじーっと見てくるので余計居づらい。




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