【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―
その日の放課後、みんな部活や、帰宅していくのを見送ったあと、人気の少なくなった教室でテストの用紙を机の上に出した。
何度みても現実は変わらない。
私の年齢と同じ点数だ。
「タカー、帰りにたい焼きー」
キノが机の前にやってきて、私は慌てて机に伏せて答案を隠した。
「あ、なんか隠した」
「キノ、今日はね、たい焼き無理」
「テスト悪かった?」
図星。
キノにごまかしは効かない。
仕方なく私は体を起こした。
キノは私の点数をみて、首を傾げた。
「きゅう、じゅういち?」
「16点、わざといってんの?」
「いや、うん、いや、?寝たの?」
「寝てないよ。分からなかったの」
今回は特別なんの準備もせずにテストを受けてしまったから当然と言えば当然だ。
逆に16点取れたことを誉めてほしいくらいだ。
嘘だけど。
へー、としみじみと私の答案を見つめるので私は答案を裏返した。
そして顔を近づけていたキノを押し戻す。