【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―
真さんは小さく頷いて、答えてくれた。
「俺の姉のとこ。つまり、キノの実母なんだけど」
「なんで、」
「まあ、色々とね」
色々?
真さんの次の言葉を待っていたら、真さんはそれきり黙った。
やっぱり。
まだいってくれないのだろうか。
「色々って、なんですか!」
「ちょ、エリちゃん」
エリちゃんが隣から挙手しながら言ったので少し、動揺した。
だけど、真さんは小さく笑っていた。
「隆也に聞いたよ。別れたんだって?」
「はい…まあ、ちゃんとは言ってませんけど」
「俺、前に病院で言ったじゃん?隆也の話は簡単にはできないって。
実は、隆也が冬ちゃんがまた俺に聞いてきたら、話してほしいって言われたんだよ」
「キノ…が?なんで…?」
「まあ聞きに来ないこと前提にしてたけどさ、
たぶん、隆也自身いつか言おうと思ってたんじゃないかな。」
そうなの…?
キノは私に言いたかったの?
そういえば、私、キノの地雷を踏まないようにってばかり気にして
結局最後まで踏み込むことができなかった。
もし、聞けるなら、遅くてもいいから…
「聞いていいですか?」
「もちろん」
真さんが一息ついてから、ゆっくりと話し始めた。
エリちゃんは落ち着かないようにキョロキョロしている。
私は、じっと真さんを見つめた。