【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―


『明けましておめでとうー‼』


パパーン

年明けはどこの番組もなんだかうきうきしてる。
うちでは毎年恒例の家族で年越しカウントダウンの番組を見ながら年越しそばを食べる。

それは今年も変わらず行われた。


「明けましておめでとうございまーす」



お母さんがのんびりとそう言うと食べ終わったお椀を片した。
私もそろそろ眠くなってきたので部屋に戻った。


携帯を確認すると、何件かラインがきていた。


ほとんどがあけおめメールだったけれど
あざみくんとエリちゃんとマヒロくんからは別の内容が含まれていた。


【明けまして誕生日おめでとう】


なんとなく語呂がよくてクスッと笑いがもれた。

1月1日。わかりやすくて助かる。
元旦は私の誕生日だった。

しかし、イベントと重なる誕生日は覚えやすさはあっても、親からのプレゼントが割りとごまかされたりするのだ。

元旦なんて、おせちはあるし、お年玉もあるから誕生日のためのプレゼントなんてもらったことない。


別にお年玉もらっといて更にプレゼントを求めたりはしないのだかれど、やっぱり何かすっきりしない。


ラインを返し終えて、一段落し、ベッドに背を預けた。


そのとき、気づいた。
ラインばかりに気を取られていたので忘れていたが、メールが一通だけ来ていた。

どうせ、年始のクーポンとかだろと思って無視していたけれど、なんとなく見てしまった私はすっかり目を覚ました




【おめでとう】


なんでなんだろう。

なにを考えているんだろう。


まったく理解出来ない。


つい、目をそらして布団を頭からかぶった。


わからない

わからない

わからない



私には

キノが全然わからないよ。



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