【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―


どうして今さらメールなんてしたんだろう。

ただの気まぐれ?

それなら十分ありえそうだけど、
だからってこんなタイミングで、久しぶりすぎて、どうしたらいいのかわからない。

返信すべき?

けど、せっかく来たんだし

一言くらい…


そのとき、ふと目に入ったのは
toのあとに続く知らないメアドたち。



ああ

これ、一斉送信してやんの。



あぁああぁあッッもうッッ

一瞬でも嬉しいと思った私のバカ!死ね!


そうだよ、誤送信でもない限り送るわけなんてない。

焦って期待してバカみたい。



携帯を枕元に置いて部屋の電気を消した。



だけど、一斉送信なんて、キノ初めてじゃん。

もしかして、転校先では上手くやっているのかもしれない。
友達もたくさんいて、お母さんも、血は繋がらないけどお父さんも居て、

私の心配なんて、目もくれず、きっと彼は新しい土地で彼が求めたものを手に入れたんだろう。

愛してくれる家族も

きっと、友達も、


私が居ないから、女の子にだってたくさん仲良くしてもらってるんだろう。

もしかしたら、とっくに私の代わり…タカラの代わりをまた見つけてしまっているのかもしれない。


なんにせよ、
私はもう用済みで


キノは手の届かないところに居て


もう私を必要としていないんだ。



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