【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―
「お、怒んなよ〜

タカの演技俺は可愛くて良かったと思うしさー」


そこじゃねえっつの!


「…………キノ、なんか上手かったね」


「そうかな」


「腹立つんだけど」


「まじかっ、皆誉めてくれたのに!」


「嬉しかったの?」


「別にー?いきなり知らない人に誉められても嬉しくもなんとも

俺、タカに誉めてもらいたくて恥ずかしいの我慢して頑張ったのに」



キノは私の涙を人差し指で救いながら
私の顔を覗きこんだ。


顔が一気に近づいて鼓動が跳ね上がる。



「誉めてくれないの?」


「……下手くそな私に誉められても、嬉しくないでしょ」


「嬉しいに決まってんじゃん
好きな人に誉められたら」


なんだってそんな恥ずかしいことさらっと言ってのけるんだろ。

顔を近づけないで

目が合わせられない。



「あら?固まっちゃった?」


「は、離れて」


「タカったら照れ屋さんなんだから」


余裕なこいつ

…むかつく!
< 35 / 415 >

この作品をシェア

pagetop