【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―
「み、みつけた」
「あーもー、遅いなー、眠っちゃいそうだった」
するすると降りてくるタカ。
軽くジャンプして着地すると空に向かって指を指した。
「虹…?」
「綺麗」
俺の方を見ながら、そういうタカは微笑を浮かべていた。
「…そうだな」
「キノの目、オレンジ色に光ってるよ」
「そんなの、タカだって」
「あの日とおんなじ色だ」
あの日
言われなくても、わかる。
タカはその言葉で、俺が死ぬのを阻止したんだから。
忘れるはずがない。
だけど、俺は、綺麗なんかじゃないよ。
俺なんかより、タカの方が、ずっと綺麗だよ。
「あ、そだ。はいこれ」
「なに…?」
手に何かのせられ、またカエルかと思った。
「………なにこれ」
「お宝でーす、美味しい飴ちゃん!」
「…しょぼ」
「うるさい、貰えるだけ喜びなよ」
「ありがと」
その次の瞬間にはその飴を口にいれて噛み砕いて、タカに味わえって怒られたけれど、
まあ、そんなやりとりも、すごく好きで、
もう少し雨に濡れてもよかったと思ったのは、秘密だけど。