【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―


「ん、ごめん、そろそろ勉強しなきゃ」

「うん」


相手を知ること。

それだけで、さっきよりもずっと、タカが身近に感じられた。

よかった。


…よかった。


「ねえ、キノ、私初めてだから」

「なにが?」

「自分のこと、言ったの。だから、秘密だからね、二人の秘密」

「…わかった」


二人の、秘密…か。



俺は、


少しでも、タカの特別になれたのかな。



近くなればなるほどに、

欲深くなる。


自分にこんなに欲があったなんて驚くくらい、胸のなかで急にそんな感情が暴れだす。


尊敬と、憧れと……




愛情















誰よりも守りたい



誰よりも近づきたい



誰よりも




愛しい









それは、たぶん初恋だった。





収まらない欲望が、

その証で。


今ならアザミが渡さないと何度も言っていた意味が分かるような気がした。


自由な彼女が好きだけど。



彼女が誰かの側で笑うのは、なんか、嫌だ。



独占したい。


自分だけに微笑んでほしい。




どうすればいい。



変な感情だ。








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