【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―


贈り物をしようと決めたものの、何をプレゼントすれば喜んでくれるのか分からない。

きっと、何をプレゼントしても、タカはありがとうって言ってくれるんだろうけど、どうせなら喜んでほしい。


学校の帰り道、
タカに内緒でプレゼントを探しに行った。


うろうろと、高校生の女子が行き来してるような店を遠くからチラチラと眺めた。


そのときに、店内にあった髪どめに目がいった。

蝶々の髪止め。


タカがそれをつけたイメージが頭をよぎった。
それは、とても似合っていて、

俺は迷わず店内に走り込んだ。


包装してください、と勇気を出して言った。


プレゼント用ですか?と言われて、思わず頷いてしまったせいで、包装の上にhappybirthdayのシールが貼られていた。


店から出て、あわててシールを剥がそうとしたらシールの跡が包装についてしまい、張り直した。


仕方ない、突っ込まれるかもだけど、このまま渡そう。


ちょっと失敗はあったけれど、満足していた。


これをタカにプレゼントして、
俺を忘れないでほしいって言う。



また、会いに来るって言って、


それから、

笑顔で、さよならを言う。




そこまで頭のなかで考えて、少し笑った。
なんだかタカと離れていても大丈夫な気がしてきた。


タカの笑顔を見たら何もかも大丈夫だって思える気がした。


寂しくても、そのときは会いに行けば会えるんだから。



離れていても、

大丈夫だ。


< 379 / 415 >

この作品をシェア

pagetop