【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―
宝___6
『◯◯町の、一角で自動車事故があり_____』
テレビの音は、部屋の掃除機の騒音でほとんど掻き消されていた。
真さんは俺の周り以外を掃除していた。
今日は仕事が休みらしい。
俺も学校は今日休みだ。
あれから、一週間がたった。
静かに、淡々と、日々が過ぎていた。
案外平気な自分に少し驚いて、
それに気づく度に、少しずつタカが遠くに行く気がした。
たぶん、じゃなくても、もう忘れた方がいいのかもしれない。
もし、何年か後にあったとして、
軽く笑い合えたなら、上出来だ。
そんな、軽い気持ちで居よう。
あんまり、タカの迷惑になれないし、
今までは依存していた。
自立には、ちょうどいい機会だ。
もう、中学生なのにいつまでも女にベッタリなのもあれだし。
…まあ、これも全部、タカが俺のこと特別に思ってないからなわけだけど。
今は、それは置いとく。
とりあえず、しばらくは、会わないし、会えない。
掃除機の音が止んで、
俺は喉が乾いて冷蔵庫に向かった。
天然水を手にとってコップに注ぎ、一気に飲んだ。それでも足りなくて、もう一度注いだ。
コップを持って、飲みながら自分の部屋に行こうとした。
そのとき、電話が来た。
出ようか迷っていると、真さんがドタドタ走って受話器を取ったので、俺は少し真さんが電話越しに誰かと話すのを見て、それから自分の部屋に向かった。