【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―
それから、何日かたって、
真さんが帰って来た。
気を使ってか、俺には何も話しかけてこなかった。
葬式は、たぶん終わっていた。
学校をしばらく休んだ。
真さんは特にとがめたりしなかった。
ただいつも通り、仕事に行くときは声をかけて、ご飯を作ってくれて、掃除もしてくれた。
俺は、死んだように眠ったり、起きたり、ご飯を食べては、また寝て、そんなペースで過ごしていた。
頭のなかが空っぽになった頃、
何を思ったのか外に出てみた。
久しぶりに出た外は、眩しすぎて、目が眩んだ。
たくさんのゲームと、漫画を買ってきた。
それから、図鑑も買った。
重くて、死ぬかと思った。
ゆっくり帰路についていると、
前から、学校のやつらが歩いてきて、すぐ道を変えて、隠れるように歩いた。
気分は、よくなかった。
「あ、おーい、待てって、木野ー」
「……は?」
驚いて、振り替えると、
クラスメイトがこちらに手を振りながら駆け寄ってきた。
驚いて、手に持っていた袋を落としてしまった。
それを駆け寄ってきたそいつが、拾って渡してくれた。
俺は、受け取らずにその場から逃げたくて背を向けて歩いた。
後ろから足音と、声が聞こえる。
「最近、学校来てないけど、なんかあった?」
「…別に」
「んなこと言うなよ。俺学級委員だから、お前のこと放っておけないし、
なんかあったら言えよ」
「…平気だから、放っておいて」
「あー…、と、これ!お前落としたやつ!持ってけって」
「いらない」
「こんな量のゲーム持って帰えれないから、あ、今からお前ん家行って一緒にやるか?」
とりあえず、全力で逃げた。