【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―
課題テストを終えて、
即帰宅。
…したかったところだけど、エリちゃんに止められ二人でカフェに行くことになった。
冬休みのことをたくさん話したいとかなんとか。
なんとなく、
それが嘘だとは感ずいていたけれど。
カフェに入り、飲み物を注文したあとすぐエリちゃんは口を開いた。
「私、ずーーーーーーっと、考えてたの」
「…なに?」
「キノくんのこと!!」
思わずため息。
あの秋から、ひとつ季節を過ぎようとしてる今、また掘り返すことなのか。
諦めも決意も、やっと落ち着いたところなのに。
「キノのことはもういいって。私は全然平気」
「なんかね、ごめんだけど、やっぱり嫌なんだよね…このまま終わるなんて」
「私達はこれでいいんだよ。また、一緒にいる理由なんて、ないもん」
「そんなことないんだって…」
エリちゃんが何か、伝えきれなそうにもどかしく目を動かしていた。
そして、私の手を強く握った。
「まだ、ちゃんと、振られてないでしょ。
ケンカ別れでしょ。
キノくんのこと、ぜんぶ知ってても、気持ちは変わらなかったんでしょ。
このままなんて、なんか、綺麗じゃないよ」
「……まあ…けど、私は別にいいよ」
「だーーーめーーーー」
「エリちゃん…」
むうううーーーっとほっぺたを膨らませるエリちゃんに、苦笑いする。
正直、このあやふやな状況でいたい自分がいた。
きっぱり振られたわけじゃない。
だけど、私は遠回しに振られてるものだ。
今さら、でしゃばったところで、
誰が得するというのだろう。
「キノくんに、会いたくないの…?」
「会ったら、困るよ。私もキノも」
「もう、一生会わないの?」
「それは……そのつもりだけど……」
「間がある。本当はどうしたい」
そんな問い詰めなくても…
どうしたいって、そんなこと、
決まってるじゃない。
「会いたいよ。けど、ダメだから」
「ダメじゃないよ。会うぐらい、何ともないよ。」
「何話せばいいか分からないよ」
「そんなのDon't think!,feel.」
「なななに」
「考えないで、感じとれって!!
フーちゃんはごちゃごちゃ気にしすぎなの。
少しぐらいわがままになっていいよ。困らせるぐらいでいい。
今までキノくんに散々振り回されたんだから」
「エリちゃ……」
「別にまた付き合ってほしいとか、そういうことじゃないの。
だけど、自分の気持ち殺してまで一生会わないなんて言わないで、
また、いつでも会いたいときに会ったらいいじゃん。
友達で居ればいいじゃん。
フーちゃんが我慢する必要ない」
エリちゃんの真剣な眼差しに
少しだけ目が潤んできた。