【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―
散々振り回された。
我慢した。
キノに会いたい気持ちは変わらないのに。
私は、何を我慢していたのかな。
ちょっと、意地張ってただけだったのかもしれない。
バカだなぁ……
「会いたいなぁ」
「……うん、いいんだよ。」
「へへ、…うん。そうだね」
「にやけながら泣いてる。変なフーちゃん。
ほら、私ね、偉い子だから、キノくんが引っ越したとこまで調べついてんの。先生に聞いただけだけど」
エリちゃんはすごい。
こんなに、すごい友達見たことない。
感謝したってしたりない。
「エリちゃん大好き………」
「は……おぉ?エリちゃんビックリですよ。フーちゃんがまさかついにデレたとは」
「エリちゃんすごすぎ、もう、神…仏…」
エリちゃんは恩返ししたいっていつも言ってくれるけれど、
私は、エリちゃんが側に居てくれるだけで、何倍も優しさをもらっているよ。
エリちゃんが居なかったら、私は、
きっと何も出来なかった。
だから、
エリちゃんは私の神様。
「私、会いに行くよ。うん、行く」
「うん、うん!」
パッと、曇り空に光が差したようだった。
希望が見えた気がした。
キノが、好きだ。
この気持ちは、キノをきっと困らせてしまうだろうけれど、それでも、
私は、キノの顔を見たい。
出来るなら
もう一度、笑顔を見たい。
ごめんね、キノ
私、
会いに行くわ。