【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―
「マヒロくんと…アザミくんも、行くの?」
「…まあね」
「ごめんね、良いか分からなかったんだけど、キノくんのこと、ヒロちゃんにも話しちゃった。
ヒロちゃんもキノくんのこと気になってるんだよね。色々話したいこともあるらしいんで、連れてきました。」
「…うん、いいよ。マヒロくんは、キノの大切な友達だもん」
「今はどうだかな、分かんないけどね。文句とか色々あるから」
少し、嬉しかった。
キノとマヒロくんの距離が出来てから、ずっと気がかりで、
私は、二人が仲良くしているところが好きだったから、実際キノがべったりなだけだったけど、
キノが唯一なんでも話せるのはマヒロくんだけだったから。
マヒロくんがまだ、キノのことを思ってくれていたのなら、それだけで嬉しかった。
「俺も言いたいことあるから行くわ」
「アザミくんも?」
「なんか、色々あって結局言えなかったからさ、俺キノいるとこ選んで転校したのに、おかしいよな」
「そっか、そっか、じゃあ、皆キノに会いたいんだね」
うん?まあ、そう、なのかなー
そんな曖昧な二人の返事に少し笑って。
それから、四人で電車に乗った。
ボックス席に四人ちょうど、座って、一息つく。
電車で二時間。
結構遠い場所だ。
キノは、そこで、
新しい家族と住んでいる。
電車に乗ってからはあまり会話はなかった。
各々、
たくさん考えてることがあるのかもしれないし、
ないかもしれないけど。
昼前に出てきたから、少しお腹がすいた。
「お昼にするー?」
エリちゃんの言葉に頷くと、エリちゃんがサンドイッチをくれた。
そういえば買ってくれてたんだっけ。
「あとで、お金返すね」
「いいよー、いつでもー」
3人とも昼食をとり始めた。
ゆっくりサンドイッチを噛み砕いて、飲み込んで、また口に入れてを繰り返して、手元のサンドイッチはすぐに無くなった。
「そういえば、アザミくん、お弁当だね」
「節約してる身なんで」
「料理上手いのね」
「そこまでじゃないから」
アザミくんが最後の一口を口に入れて、弁当箱を片付けた。