【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―
いっぱい考えてくれた
私のためにこれを選んでくれた
「ありがとう、普通に、嬉しい」
ぬいぐるみを掲げながら見ていたら
キノが大袈裟に息をはいた。
「よかったぁああ」
「本物だったら別れてたけど…」
「本物にしなくてよかった」
え、
本物って考えもあったの?
なんかものすごく嬉しそうに笑ってるカエルのぬいぐるみは
なんとなくキノに似てる気がしてきた。
カエルの胸に書かれていた"I kill YOU"
についてはあまり触れないでおこう。
まさか犯罪予告なわけないし
よく見たらこのカエルちゃん口の端からおびただしい血が垂れてますけど
そこも気にしないことにしよう。
総じて可愛いし
「気に入ってくれた?」
「ん、まあね」
「タカからは?」
「え?」
「プレゼント、ないの?」
「………」
まさか本当にキノがくれると思わなくて
準備しませんでした!
なんて言えるわけない
「俺はあげたのに、タカからは何もなし?」
「…明日とかはだめ?」
「ダメだよ、だって記念日は今日だけだよ?」
そうだけど
くそっこんなところで責められるなんて思いもしなかったよ!!
「えーーー、俺すげー傷ついたー
まじかー、まじでねえんかー」
「ごめんなさい…」
こればかりは謝る他ない。
私がキノを甘く見すぎていたせいだ。